人間関係の悩みを抱える人は多くいると思います。僕も学生のころから「他人にはどう思われているか」「評価はしてもらえているのか」などと不安になることがありました。2013年に発行されたベストセラー『嫌われる勇気』の中でも、哲学者アドラーの言葉として
すべての悩みは「対人関係の悩み」である
『嫌われる勇気』(2013年) 岸見一郎 古賀史健
が紹介されています。アドラーは19世紀後半から20世紀前半の人物です。100年前から、もしかしたらさらにもっと前から続く人類の普遍的な悩みなのかもしれません。
そんな悩みを抱える僕らが、悩みから解放されるためにはどうしたらよいのか。今回参考にさせていただいたのは
対人関係の悩みの根本とはなにか、それを乗り越えるためにはどうしたらよいのか。本著を参考に考えてきたいと思います。
著者 大仲千華さん紹介
大仲さんはオックスフォード大学で人類学を学ばれ、その後国連職員になられた方です。国連時代には東ティモールや南スーダンなどの紛争直後の地域で平和維持活動、元兵士の社会復帰支援などを経験されました。その後も様々な経験をされ、現在は明治学院大学の講師を務めながら、コーチングやカウンセリングの専門家として活動されています。
大仲さんから学ぶ意義
この本を読んで初めて知ったのですが、国連は多くの職員が有限契約だそうです。1つの仕事に応募し、契約が終わる前に次の仕事を探して応募するという形です。つまり自動更新も自動昇進もなく、定期的に「職探し」をしないといけません。
立場が安定していないという一方で、常に自分の意志で参加できるという側面があります。まさにこの点が今回大仲さんに学ぶ意義だと思いました。自分の意志で生きてきた、自分の意思がないと働けなかった環境にいたということなんです。
今回の「人間関係の悩み」に対してはこの「自分の意志」というのがとても重要なポイントです。それを体現されてきた方がどのような思考を持っているのか、学んでいきます。
『自分の軸で生きる練習』からの学び
不安の理由は「答え」
僕たちはなぜ、不安になるのでしょう。それは「答え」であるといいます。
日本では、「〇〇なお店ランキング!」「△△な人にはこれ!」といったように、正解の答えを示すかのような情報があふれています。なぜこのような情報があふれているかというと、それを求める人がいるからです。
人は答えを求めてしまいます。答えがあり、自分がその答えを選択できることで安心するからです。ただ、この思考がいつまでも不安から解放されない理由なんです。
「答え」は他人の価値観
ランキングや商品紹介は一見自分が知りたい情報を与えてくれるように見えます。しかし、それは誰か他人の価値観によって作られたものなのです。その紹介から選択するということは、自分で選んでいるようでいて、実は他人の価値観に依存しているので、自分の判断ではないんです。
このようなことが習慣になっていると、答えのないことが不安になります。例えば、難しいテストを説いている最中不安になるのは、答えがわからないまま進んでいくしかないからですよね。
さらに、答えに頼るということは、常に答えと自分の比較になるということにもなります。正解の形があり、それに対して自分はどうかという比較が常に行われてしまうのです。しかし答えは理想的なことが多いため、常に自分は何か足りていないということになってしまい、不安になります。
「答え」がないことに耐える
もう一度確認したいのは「答え」は誰かの価値観で作られたものということです。つまり「答え」など本当は存在しないのです。
この本では答えのない時代の思考法として、著者がオックスフォード大学時代に経験された「チュートリアル」という指導方法が紹介されています。答えがないというマインドをセットするための具体的な方法が紹介されていますので、ぜひ読んでみてください。
自分の特徴を理解する
答えがないことに慣れた上で次に必要になるのが、自分の価値観信じて行動することです。答えがないからといって、何の目標もなく行動し続けるのは不可能です。しかし、答えはないので、その行動の基準は自分が作る必要があります。
その上では、自分をきちんと理解しないといけません。自分の特徴を考える際には、強みと弱みを考えてしまいがちです。しかし、強い・弱いはコインの裏表で、どんな特徴にも強い面と弱い面があるといいます。
たとえば、一般によいこととされがちな「頭がいい」には、新しい考え方や概念を理解するのが早いという側面がある一方で、他人の意見に批判的・不寛容という側面があるといいます。なんとなく浮かぶ人がいますよね(笑)
そして特徴が強いか弱いかは状況によって異なります。自分の弱みだと思っていたことがある場面で急に役に立つということもあります。両面性があることを理解しておかなければいけません。
「意思表示」する
自分の価値観で生きていくためには、意思表示することが大切です。意思表示とは、自分の判断でよいと思ったことを、発言や選択などの行動に移していくことです。
それこそ反対されることもありますが、「答え」はないのです。そこで不安になるならまだ、他人の価値観で生きてしまっているのかもしれません。
そして自分の選択が正しかったのかどうか。これを判断するのも自分です。他人や世間の評価を気にすることは意味がありません。
自分の人生を生きる
この本の中ではたびたび問いかけがなされます。
「社会や他人がいうことを信じますか?」それとも「自分を信じますか」
『自分の軸で生きる練習』134ページ
などです。これが徹底できてくれば、他人との関係に悩むことはありません。あくまでも自分の人生を生きていくことが大切なのです。自分がよいと思ったことに対する評価を大事にしなければなりません。
まとめ
今回は人間関係の悩みということでこの本を参考にさせていただきました。人間関係に悩む最大の原因は「他人の評価を気にしてしまうこと」でした。そしてそれは、答えのない現代社会を生きていくうえで克服すべき根本的な問題であることもわかりました。
情報にあふれる時代。答えは簡単に手に入ってしまいます。しかし、そもそも答えはないのです。自分の価値観で答えを考え、選択していくことが最重要です。
と、まとめることも僕がまだ誰かの作った答えに頼ってしまっているのかもしれません。修行が必要です。
【参考文献】
Amazonのアソシエイトとして、まなぶるねすは適格販売により収入を得ています。
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