こんにちは、たくみです。
前回までは20世紀哲学の大きな3つの潮流について学んできました。
西洋哲学は近代を乗り越え
いよいよ「ポスト・モダン」の時代へと突入します。
ポスト・モダンは現代の私たちの生活感覚とも
かなり近い哲学です。
今回は西洋哲学のまとめとして
ポストモダンについて学んでいきます。
≪参考文献≫
今回の学び
ポスト・モダン
19世紀の後半、人間や社会の理想を追求する思想が繁栄しました。
それは、技術が発展し経済が成長し続ける20世紀を支えていきました。
しかし、こうした理想を語る「大きな物語」は終わりを迎えます。
1990年代になり冷戦が終結すると
これまでの時代を支えていた技術や進歩に対する絶対の信ぴょう性がなくなります。
「大きな物語」の死です。
「モダン(近代)」が終わり
「ポスト・モダン」の時代に突入しました。
ポスト・モダンでは
普遍的な価値というものがなくなり
様々な価値が隣り合わせで存在するようになります。
社会では予想外の衝突や発展が繰り返され
全体を把握することは難しくなります。
フェミニズム
フェミニズムと呼ばれる女性に関する考え方は
大きく3つの段階で進展してきました。
まず、19世紀から20世紀にかけて
社会が「近代化」されていく中では
男女同権を目指して女性の権利拡大運動が展開されました。
次に、1960年代ごろからは
これまでの「女性的」という概念が
社会や文化の中で「形成されたもの」というとらえ方になりました。
例えば「良妻賢母」などの概念は神話にすぎないとされました。
1990年ごろからは
「女性は~」という女性を本質的に同じとする「本質主義」が批判されます。
実際には女性に限らずすべての人間が、共同体・社会における実践によって
人格を形成することになります。(=構成主義)
こうして多様な形の在り方・なり方が認められるようになり始めました。
J.J.ギブソン
ギブソンはこれまでの認知論や主観・客観図式を否定する思想を構築します。
それが「アフォーダンス」です。
アフォーダンスとは行動を誘発する環境のことです。
例えば、足もとに小石があればけりたくなってしまいます。
人の行動は、実は自分の意志で行っているわけではなく
環境に誘発されているという考え方です。
様々なアフォーダンスが存在し
人間はアフォーダンスに囲まれています。(=包囲光)
アフォーダンスに対していちいち脳で考えて行動しません。
運動は自然に誘発されています。
環境と運動が直接対応しているということです。
歩くときにいちいち地面の傾斜を計算することがないように
環境と運動は直接対応し、一体化していきます。
アフォーダンス理論では
この一体化=自己組織化によって秩序が生まれていくと考えます。
アフォーダンスはこのように認知や主観・客観の概念を崩していきました。
複雑系
熱力学の研究から、社会の様々な仕組みの分析に発展したのが「複雑系」と呼ばれる理論です。
割れ窓理論のように社会の動きは
偶然によるミクロの動きが、全体のマクロな動きを決定していきます。
マクロの動きはさらにミクロの動きを誘発(制御)し
マクロの構造がさらに強化されていきます。
マクロ構造の構築に設計者は存在せず、意図もありません。
偶然、創発されたということです。
こうした複雑系の考え方は
歴史や経済にも応用されています。
オリエンタリズム
オリエンタリズムとは
西洋から見た東洋のイメージのことです。
デリダの二項対立的に
西洋が優れていて東洋は野蛮であるという概念が
歴史的に形成されてきました。
例えば、大航海時代以降のヨーロッパアジアの植民地化が正当化されていたのは
こうした西洋優位の概念が存在したからです。
こうした直接的な支配構造が表面的に薄くなった現代でも
学問や行政制度など身近なものの中にオリエンタリズムは浸透している場合があります。
オリエントは現在のトルコから日本までの地域を大きく指す言葉ですが
この地域を経済や歴史、文化、民族、言語などで一括することは困難です。
それは西洋の文脈から見た「東の方の」という意味であり
必然性がないことは理解しておくべきです。
まとめ
今回で西洋哲学はひと段落です。
ギリシャ哲学から始まり
中世哲学、近世哲学、20世紀哲学、ポスト・モダン
と概要を学んできました。
哲学というのが時代の社会構造とむずびついて
その時代に解決すべき課題(矛盾)、もしくはよりどころとすべき思想を
求めてきていたものだということが分かりました。
特に近世以降は
前の時代にテーマとなっていたことを否定したり
課題自体の存在を疑ったりと、「文脈」で取られることがポイントでした。
まだまだ細かい思想については理解できていませんが
大きな流れをつかむことができました。
次回からは東洋哲学について学んでいきたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もよろしくお願いします。
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